バター、マーガリン、ファットスプレッド―これらの食品は似ているようで異なり、健康に対する影響も異なります。ここでは、それぞれの違いと、栄養成分のバランスに焦点を当てて解説します。
バターは、牛乳から分離したクリームを練り固めた食品で、主成分は動物性脂肪です。その特徴的な風味やコクは、多くの料理で愛されています。
マーガリンは主に植物性脂肪から作られ、発酵乳やビタミンなどが加えられ、バターに代わる代替品として開発されました。バターよりも柔らかく、パンに塗りやすい特長がありますが、風味やコクはやや劣ります。
ファットスプレッドは、マーガリンよりも低い油脂含有率で、水分が多く柔らかい特性を持ちます。ただし、火を使う調理には向いていません。日本の家庭用マーガリンの多くは、ファットスプレッドとして提供されています。
これらの製品の規格はそれぞれ異なり、バターは厚生省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で乳脂肪分80%以上、水分17%以下、大腸菌群が陰性であることが求められます。
一方で、マーガリンとファットスプレッドは農林水産省のJAS規格に基づき、異なる基準が設けられています。
マーガリンの規格は、鮮明な色調を有し、香味及び乳化の状態が良好であって、異味異臭がないこと。油脂含有率80%以上。乳脂肪含有率40%未満。水分17%以下。異物が混入していないこと。内容量が表示量に適合していることです。
ファットスプレッドは、鮮明な色調を有し、香味及び乳化の状態が良好であり、異味異臭がないこと。風味原料を加えたものは、風味原料固有の風味を有し、きょう雑物をほとんど含まないこと。油脂含有率80%未満、かつ、表示含有量に適合していること。乳脂肪含有率40%未満、かつ、油脂中50%未満であること。油脂含有率及び水分の合計量85%(砂糖類、はちみつ又は風味原料を加えたものは65%)以上。異物が混入していないこと、内容量が表示量に適合していることとなっています。
健康への影響も考慮すると、バターは動物性脂肪が主成分であり、コレステロール値の上昇に関連しています。一方で、マーガリンやファットスプレッドは植物性脂肪が主成分で、中性脂肪やコレステロールを減らす働きがありますが、トランス脂肪酸を含んでいることに注意が必要です。
健康への影響は個人差がありますが、トランス脂肪酸に関する注意が必要です。欧米人の研究結果を元にしていますが、日本人においても摂取量に気を付けることが重要です。