「鏡開き」と「鏡割り」は、正月に供えた鏡餅を下げて食べる行事のこと。
江戸時代の武家社会で、男子は具足に供えた具足餅、女子は鏡台に供えた鏡餅を手や木槌で割って食べたことに由来する。
刃物で切らず、手や木槌で割り砕くのは、切腹を連想させるためである。
「鏡割り」という言葉は、鏡餅を割って食べることからだが、「割る」という言葉も縁起が悪いため、忌み詞として「開き」を使い、「鏡開き」というようになった。
縁起の悪いことに使うことがない言葉なので、「鏡割り」よりも「鏡開き」を使うのがよい。
祝宴などで酒樽の蓋を木槌で割って開くことは、「鏡抜き」「鏡開き」「鏡割り」という。
「鏡」は酒樽の上蓋を「鏡」と呼んでいたことに由来し、酒樽の蓋を開くことは「鏡を抜く」と言っていたので、本来は「鏡抜き」と呼ぶのが正しい。
しかし、「抜く」は語感が悪いとされることもあり、鏡餅と同様、「割る」では縁起が悪いため、「開き」を使って「鏡開き」と呼ぶようになった。
報道などで酒樽を木槌で割って開くことを表す際、「鏡抜き」では語感が悪いと言われ、「鏡開き」では正しくないと言われるため、「酒樽を開ける」「四斗樽(しとだる)を開ける」といった表現をすることが多い。