油断の語源には、有力とされる語源が二説ある。
ひとつは、『北本涅槃経 二二』の「王が臣下に油を持たせて、一滴でもこぼしたら命を断つと命じた」という話から、「油断」の語が生まれたとする説。
もうひとつは、「ゆったり」「のんびり」という意味の古語「寛に(ゆたに)」が、音変化して「ゆだん」になったとする説である。
『北本涅槃経』の説が正しければ、「ゆだん」の漢字表記は全て「油断」となるはずであるが、古辞書には「油断」のほか、数々の漢字が用いられているため考え難い。
「ゆたに」が音変化して「ゆだん」になったとする説は、用例が見当たらない。
ただし、四国の一部地域では「ごゆっくりしてください」という意味で「ゆだんなされ」と言うこところもあり、確定は難しいがやや有力と言える。
その他、行灯などの油の準備を怠ったため夜中に油が切れ、敵に襲われ命を落とすことから「油断」になったとする説もある。
しかし、他の漢字が用いられたことが考慮されておらず、そのような文献も見られないため、漢字に当てはめて作られた後世の俗説と考えられる。