バイキングは、8世紀から11世紀にかけてヨーロッパ各地を侵攻した北方ゲルマン族の通称で、のちに海賊を意味するようになった語だが、食べ放題の「バイキング」と直接関係するものではない。
日本で食べ放題のことを「バイキング」と呼ぶのは、帝国ホテルのレストラン『インペリアルバイキング』の名に由来する。
1957年(昭和32年)、帝国ホテルの支配人であった犬丸徹三が、デンマークの首都コペンハーゲンのホテルで北欧式ビュッフェの「スモーガスボード」を食べた。
犬丸は「好きなものを好きなだけ食べる」というスタイルが日本でも必ず受けると考え、翌年、新しく開館した帝国ホテル第二新館に「スモーガスボード」を提供するレストランをオープンした。
レストランのオープンに際し、店名を社内公募した結果、当時上映されていた映画『バイキング』の中で、海賊たちが豪快に食事をしていたシーンが印象的だったことと、「北欧の歴史といえばバイキング」という発想から、『インペリアルバイキング(インペリアルは帝国の意)』と命名された。
この形式を真似た後発の店が、定額の食べ放題を「バイキングスタイル」と表現したことから、ビュッフェ形式の料理は「バイキング料理(単に「バイキング」とも)と呼ばれるようになった。