えぐい(文語「えぐし」の口語)は、のどをえぐるような味覚であるという形容で、「えぐる」が語源である。
のどを刺激するような味の意味での使用は古く、平安中期の『和名類聚抄』にも見られる。
思いやりがないことや、むごたらしいさまなど、比喩的に「えぐい」が用いられるようになったのは江戸時代頃からである。
近年、その比喩的用法が拡大され、えぐいは「きつい」や「厳しい」の意味でも用いられるようになった。
えぐいの語源には「えぐみ」に由来するという謎の説が広まっているが、これは「渋い」の語源を「しぶみ」、「甘い」の語源を「あまみ」だと言っているようなもので、語源として考える必要もない低レベルな俗説である。
また、植物の「エグ」に由来する説もあるが、植物の「エグ」も「えぐい」もしくは「えぐるような味覚」に由来する。