「正鵠(せいこく)」は、弓の的の中心にある黒点を指し、同様の意味で古代中国で生まれた熟語です。この表現は、物事の要点や核心を指す意味に転じました。明治時代には、「正鵠を得る」が物事の急所や要点を正確につく意味で生まれ、昭和に入って「正鵠を射る」という形が発展しました。
他人の誤りを指摘することが好きな一部の人たちは、「正鵠を得る」を「誤用だ」と主張しますが、歴史的な流れから分かるように、元々は「正鵠を得る」であり、その後に「正鵠を射る」の形が派生した言葉です。したがって、「正鵠を得る」を誤用と断じることは正確ではありません。
「鵠」は日本では「くぐい」と読まれ、ハクチョウの異名として使われる漢字です。なお、「鵠」が的の意味を持つようになったのは、的の中心がかつて黒ではなく白であったためとされています。