凄まじいは、動詞「すさむ(荒む)」が形容詞化した語。
古くは「すさまし」と清音であったが、鎌倉時代頃から「すさまじ」と濁音化された。
清音から濁音に転じたのは、「同じ」の「じ」など、比較の際に用いられる接尾辞「じ」の影響があったと思われる。
しかし、この語は現代でも「すさまじい」「すさましい」「すざましい」「すざまじい」と発音に揺れがあるため、濁音化は発音のしやすさによるとも考えられる。
本来、凄まじいは、物事の調和がとれていない事に対して「興ざめするさま」「つまらないさま」を表す語であったが、「寒々しい」「冷え冷えする」といった温度感覚を表す語としても用いられ、「寒」や「冷」の訓に当てられていた。
中世以降、程度を示す用例が増え、凄まじいは「恐ろしいほど凄い」「呆れるほど酷い」といった意味を持つようになった。