世知辛いの語源・由来

世知辛いの「世知」は、本来仏教用語で「世俗の知恵」を意味する。
日本では「世渡りの才」も表すようになり、さらに「勘定高い」「せこい」といった意味でも用いられるようになった言葉である。
世知辛いの「辛い」は「世知」を強めたものであるが、「世渡りの才」に対して「辛い」で「世渡りがしにくい」という意味になったのではない。
「勘定高い」という意味の「世知」を強めた「辛い」で、世知辛いの本来の意味は「勘定高くて抜け目がない」である。
「暮らしにくい」「世渡りがしにくい」という意味は、「世知辛い人(勘定高い人)が多い世の中は暮らしにくい」という意味から派生した用法である。
世知辛いの語源には、本来は「切辛い」と表記し、「物事が切迫していて、容易に乗り切れない」といった意味からという説もあるが、「世知」の意味や用法の変化が明らかなので、この説は考え難い。

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