上代には「くひびす」「くびひす」と呼ばれ、「くびす」「きひびす」などの形に変化し、中古以降に「きびす」にも変化した。
その後、「くびす」が基本の形、「きびす」が日常語として使われていたが、近世以降には、上方で「きびす」が基本的な形となり、西日本の方言となった。
全国的には「踵を返す」「踵を接する」などの慣用句の中で用いられている。
きびすの語源となる「くひびす(くびひす)」の「くひ(くび)」は、くるぶしから先の部分や足をいう「くはびら」の「くは」、「びす(ひす)」は「節(ふし)」など関節を表す語系からといった説が有力とされる。
その他、足首の下や足首の尻といった意味から「首下(くびし)」が転じたとする説や、足首のする場所の意味から「くびす」となり、「きびす」になったとする説もある。
地方によっては「きびす」が「くるぶし」を指すこともあり、「足首」の「首」が語源とも考えられているが、「くひ」の音や「ひす(びす)」が考慮されていない点で疑問が残る。