自然と天然は、どちらも人の手が加わっていないもののことだが、人為的でない意味が強いのは自然よりも天然である。
自然には「独りでに」「自ずから」という意味があり、人の手が加わったものを除いた全てを表す。
天然は、自然のままであることや、本来のままであることをいい、人の手が加わっていない状態を表す。
人工的に作られた「化学繊維」や「合成繊維」に対し、人工的に作られたものではない繊維は「自然繊維」とは言わず「天然繊維」と言う。
人工的に繁殖させた魚を「養殖魚」と言うのに対し、自然の中で繁殖した魚は「自然魚」とは言わず「天然魚」と言う。
このように、自然よりも天然の方が、人の手が加わっていないという意味が強く、人の力で作ることができるものとの対比で使われることが多い。
自然は、海・湖・川・山・草・木など、人為によらずに存在するものや、そこに生きる動物、雨や風などの天候、地球や宇宙など表す範囲が広く、人為的でないというよりも、人がどうこうする以前から元々存在するものという意味が強い。
自然よりも天然の方が、人の手が加わっていることとの対比に多く用いられるため、天然の対義語には「人工」「人造」「養殖」など多くの対義語があるが、自然の対義語は「人工」ぐらいである。