轍とは、車が通った跡。
鮒は、魚のフナのこと。
轍にできた水溜りにいるフナが、水がなくなりそうで今にも死にそうになっていることから。
『荘子・外物』の以下の故事に由来する。
貧しかった荘子は食べる物が無くなり、友人で地方の君主であった監河候に穀物を借りに行った。
すると監河候は「数日後に領地から税金が入るので、その金を貸そう」と言ったところ、荘子は「ここに来る途中、轍にいるフナが私に助けを求めた。近いうちに西江に行って水をたくさん持ってきてやろうと私がフナに言ったら、フナは怒って「今わずかな水があれば助かるのに、そんな悠長なことを言われても困る。それを待っている頃に、自分は干からびて干物になってしまう」と言った。今の私は、そのフナと同じ心境だ」と言ったという。