フーテンは、元々「瘋癲」と漢字表記し、常軌を逸した行動をすることや精神異常、また、そのような人に対する俗称で、明治時代には、精神科病院を「瘋癲病院」と呼んだこともある。
「瘋」は精神錯乱、「癲」は発作的な狂態を表す。
瘋癲が定職を持たずにぶらぶらする人を意味し、カタカナで「フーテン」と表記することが多くなったのは、1967年の夏頃からである。
1967年の夏、夕方になると新宿東口の芝生に、汚い風体で髪を伸ばし、金をせびる若者が集まるようになり、彼らは奇声を発していたことから「フーテン族」と呼ばれるようになった。
その後、乞食のような身なりで何もせず、ぶらぶらとしている人を指して「フーテン」と言うようになった。
カタカナ表記になったのは、1960代にアメリカから広まった「ヒッピー」の影響である。
「フーテンの寅」でおなじみの『男はつらいよ』は、1968年にテレビドラマとして始まり、映画シリーズは翌1969年から2019年までに50作が制作された。