もぬけは、セミやヘビが脱皮することや、その抜け殻のことで、後者は「もぬけの殻」と同義である。
もぬけの語が見られる最も古い例は、934年頃に成立した漢和辞書『和名類聚抄』の「倍美乃毛沼介(はみのもぬけ)」で、ヘビの抜け殻を指しており、語源は諸説あるが「身抜(みぬけ)」や「衣退(もぬけ)」の意味に由来すると考えられている。
人が抜け出た寝床や住居や魂が抜け去った体を「もぬけの殻」と言うのは、虫などの脱皮にたとえた表現と思われる。
ただし、『和名類聚抄』の次に古い1008年頃の『源氏物語』では「もぬけ」が着物から人が抜け出た状態を表しており、「もぬけの衣」という形での使用も古くから見られるため、もぬけが元々は虫などの脱皮に限って使う言葉ではなく、何かしらの中身が抜け出た後に残ったものを表していた可能性もある。