出前の語源・由来

出前というサービスは江戸時代初期にまで遡るが、明治頃まで「出前」の語は、遊女の年季勤めが終わり遊里を出る前を指す言葉として用いられた例しかなく、語源としては繋がらない。
「前」は「一人前」「分け前」など「それに相当する分量」「分」を表す接尾語「前」で、出向いて注文された分を届ける意味からとする説と、相手に対し敬意をもって言う時の「お前(御前)」の「前」で、出向いてお前のところに届ける意味からとする説がある。
出前の起源が、「慳貪(けんどん)」と呼ばれた盛り切り一杯のうどんやそばを届けるサービスであったことから、「前」は「分量」を表す「前」と考えるのが妥当であろう。
また、「出前」の語が使われ始めた頃は、既に「お前」の語から敬意の意味が薄れており、「お前のところに出向く」の意味からとは考え難い。
ただし、「前」を「お前」の「前」と特定せず、「注文者の前」という意味であれば、完全に否定することはできない。

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