サメの語源には、「狭目・狭眼(さめ)」の意味とする説が多い。
しかし、サメの目は体に比べて小さいとは言えるが、狭い(細い)とは言えない。
目の大きさを語源とするならば、1億分の1の単位を表し、非常に小さい粒を意味する「沙」で「沙目(さめ)」、もしくは「小目(さめ)」の方が良いであろう。
「メ」は魚につける指称辞として用いられる語である。
目の大きさに関係ないとすれば、古くはクジラが「イサナ(磯魚)」と呼ばれていたことから、「イサメ(磯魚)」の上略とも考えられる。
また、アイヌ語でも「サメ」は「サメ」や「シャメ」と言う。
アイヌ語が和語に入ることはあっても、和語からアイヌ語に入ることはないことから、アイヌ語説は有力視されている。
ただし、アイヌ語から和語になった動物は、もともと寒い地域に棲息するものが多く、広域に棲むサメがこれに該当するとは言い切れない。
『古事記』や『風土記』では、「サメ」が「ワニ」と呼ばれており、古く「ワニ」は「サメ」を指す言葉であったことがわかる。
サメの漢字「鮫」の「交」は、くねらせることを表す。
体をくねらせる魚の意味で、魚へんに「交」で「鮫」となった。