脛は一般的に膝からくるぶしまでの前面部分をいうが、本来は後方のふくらはぎも含むことから、前面の意味で「向こう」が付けられて「向こう脛」となった。
「向こう」は相手側や反対側、自分から離れた前方を意味する言葉であるが、向こう脛の「向こう」は用法が異なり、対面する相手に向かって正面・前面の意味である。
同じ用法の言葉には、上の前歯をいう「向こう歯」「向か歯(むかば)」がある。
古く「すね」は「はぎ」と言ったため、向こう脛は「むかはぎ(向か脛)」と呼ばれていた。
「向こう脛」の語が見られるのも古く、室町時代からである。