小野小町の歌に「うたた寝に 恋しき人を 見てしより 夢てふものは 頼みそめてき」とあるように、うたた寝は古くから使われている言葉です。
漢字で「転寝」と書きますが、「転(うたた)」という副詞は「どんどん進行して甚だしくなるさま」を意味し、「うたた寝」の「うたた」とは意味が掛け離れているため、語源であるとは考えがたいです。
また、「夢うつつ」や「うつつを抜かす」などと使われる「現(うつつ)」が語源で、「現寝(うつつね)」が変化したとも考えられますが、「うつつ」が「夢心地」の意味を持つのは後世のことであるため、「うたた寝」が使われ始めた時代を考えると不自然な説である可能性があります。