「死体」と「遺体」の言葉の選び方

死体と遺体の主な違いは、死者をどのように表現するかにあります。「死体」は「死んだ体」という意味で、客観的な物体としての表現です。一方、「遺体」は「魂が去って遺された体」として、死者の人格を認めるようなより敬意を表した言葉です。

報道では以前、身元不明の場合に「死体」、身元が判明している場合に「遺体」と使い分けられていましたが、最近では「死体」よりも「遺体」が一般的に用いられる傾向にあります。これは「死体」が物体としての印象を与えるため、特に「死体遺棄罪」「死体損壊罪」など法律用語や、生死の情報が主題の場合に限定されています。

日常会話では、「死体」は人間や動物に対して使用されることがありますが、「遺体」は通常、人にのみ使用されます。一方、学術用語では、動植物全般に「遺体」という用語が使われることがあります。

「死体」「遺体」以外にも、「死骸」や「亡骸」「遺骸」など、敬意を表す言葉があります。
「亡骸」「遺骸」は特に敬意を込めた言葉ですが、会話で使われることは少なく、文学的な文脈で主に用いられます。「死骸」は動物に対して使われることが多く、人に対して使うと放置された印象を与えることがあります。また、「しかばね」や「むくろ」などの言葉は、死者への敬意が含まれず、主に文学で用いられます。

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