「越える」と「超える」の使い分けと意味の違い

「越える」と「超える」はどちらも「こえる」と読まれ、何かを超越する意味を持ちますが、その使用法には異なるニュアンスがあります。

「越える」は、物理的な障害物や境界、あるいは時間的な範囲を通り過ぎる意味で使われます。例えば、「頭上を越える」「ハードルを越える」「国境を越える」「冬を越える」「期日を越える」といった表現で使用されます。これは、物理的または時間的な障害や制約を乗り越えることを意味しています。

一方で、「超える」は、基準や数量、範囲、限度などを上回ること、または地位や段階などの順序を飛ばして先に進むことを表す際に使用されます。たとえば、「世界記録を超える」「過半数を超える」「定員を超える」「時速200kmを超える」「先輩を超えて部長になる」などの表現で使われます。

ただし、「越える」と「超える」の使い分けは時に曖昧であり、文脈によって使い方が異なることがあります。例えば、「国境をこえる」という表現は物理的な境界を通り過ぎる場合には「越える」を使いますが、主義や立場の範囲を上回る場合には「超える」を使います。「権限をこえる」は一般的には「越える」を使いますが、「超える」も使われることがあります。

年齢に関する表現では、「60歳を超える」と数量を超えることを意味するため「超える」を使いますが、「60の坂を越える」のように時期を表す際には「越える」が適切です。

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