マタタビの語源には、旅の途中で倒れた人がこの実を食べたら元気になり、又旅(またたび)ができるようになったからという説があるが、強壮作用を誇張し洒落たもので、全くのでたらめである。
平安時代の本草書『本草和名』に「ワタタビ」とあるように、マタタビを古くは「ワタタビ」と言った。
「ワタタビ」の語源としては、「ワ」が「本物でないもの」、「タタ」が「タデ(蓼)」、「ビ」が「ミ(実)」の訛りとする説や、「ワル」は「ワサビ」の「ワ」と同じ意味、「タダレ」は「タデ(蓼)」、「ビ」が「ミ(実)」で「ワルタダレミ(悪爛実)」の転とする説がある。
「ワタタビ」を語源としない説には、アイヌ語の「マタタンプ(「マタ」は「冬」、「タンプ」は「亀の甲」の意味)」が転じたとする説がある。
秋田の方言ではマタタビを「またんぶ」と言うことから、「ワタタビ」も「マタタンプ」が変化を繰り返した後にできた語とも考えられる。
その他、長い実と平たい実と二つなることから、「マタツミ」の意味を語源とする説もあるが、使用例がないことから説得力に欠ける。
漢字の「木天蓼」は「もくてんりょう」と言い、漢方で中風やリウマチの薬に用いるマタタビの果実を乾燥したものを指す語である。