おいしいの「お」は接頭語、「いしい」は形容詞「美し(いし)」に「い」が付いた言葉で、漢字の「美味しい」は当て字。
「いし」は、「好ましい」「優れている」「見事だ」という意味で用いられ、それらの意味から、主に女性が「美味だ」の意味でも用いるようになった言葉である。
この頃から、「いし」に「い」が加わった「いしい」の語が生まれ、「お」がついて「おいしい」となった。
おいしいの語源となる「いし」を基準に考えた場合、「美味だ」の意味よりも「都合が良い」の意味の方が早く、「おいしい」という語の成立を基準にした場合は、「美味だ」の意味の方が早く用いられたことになる。
また、「うまい」に比べ「おいしい」の方が丁寧な言葉として扱われるのは、女性が使い始めた言葉であることと、「お」が冠されているためで、「おいしい話」と「うまい話」は、「好都合な話」といった意味で用法的には似ているが、「おいしい話」の方は「利益になる」といった意味が強く含まれる。