トンボの最も古い呼称は、奈良時代の「アキヅ(秋津)」で、その後「セイレイ・カゲロフ(蜻蛉)」、「ヱンバ(恵無波)」の語が現れる。
古くは「トンバウ」の語形で、平安末期には「トウバウ」「トバウ」などが見え、江戸時代から「トンボ」と呼ばれている。
語源は「トン」が「飛ぶ」、「バウ」が「棒」の意味で、「飛ぶ棒」が変化したという説が多く、この虫の印象から正しいように思える。
しかし、「バウ(棒)」は漢語、「飛ぶ」は和語で、漢語と和語が結び付けられることは、時代的に早すぎるため考え難い。
「トン」は「飛ぶ」の意味であろうが、「バウ」は「バウ(棒)」ではなく、和語である「ハ(羽)」の変形と考える方が良いであろう。