破魔矢の歴史と風習 – 仏教語から始まる興味深い由来

破魔矢は、かつて「破魔矢奉製所」という企業が商標登録していた名前でしたが、更新が怠られたことにより一般名となりました。なお、「破魔矢」が商標登録されていた一時期、NHKのニュースでは「魔除けの矢」と呼ばれていましたが、これは言葉自体が商標登録以前から存在しており、「破魔矢」やその風習の由来は「破魔矢奉製所」とは無関係です。

破魔矢の「破魔」はもともと仏教の言葉で、悪魔の魔力を打ち破ることを指します。円座形の「破魔」は正月に行われる年占(としうら)の競技で的として使用され、投げ上げて射落とすことでその年の運勢を占うものでした。この競技に使用される矢が「破魔矢」であり、それに対応する弓が「破魔弓」です。
江戸時代になると、この競技が正月の縁起物として形式化され、男児の成長を祈願して模擬の弓矢が贈られる風習が生まれました。その後、男子の初節句の贈り物として広がり、細長い板に破魔矢と破魔弓を飾り、その下に戦人形(いくさにんぎょう)などの押し絵を貼ったものが作られるようになりました。
新築の家の棟上式では、二本の破魔矢と破魔弓をセットにして、鬼門の方角に向けて立てられるのが通例です。破魔矢の歴史と風習は、仏教の影響と共に日本の文化として根付いています。

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