果物は「木の物」の意味で、元は木の実を指した。
「くだもの」の「く」は、「木」の古形。
「だ」は「けだもの(獣)」の「だ」と同じ「の」を示す助詞で、「水無月」や「神無月」の「な(無)」に通じる語である。
「くだもの」は「菓子」と書かれたが、江戸時代に入り「菓子」が現在の意味になったため、果物は「水菓子」とも呼ばれるようになった。
その「水菓子」が水分を多く含んだ菓子の一種と誤解されるようになったことから、「水菓子」とも呼ばれなくなり、現在では主に「果物」か「フルーツ」と呼ばれる。
いちごやスイカ・トマトといった草になる果実は、「果物」と「野菜」の境界線上にあり、果物か野菜かといった議論がよく行われるが、語源的には果物に含まれない。
しかし、世間一般にいちごやスイカは「果物」、トマトは「野菜」という認識が強く、その他、調理法や食べ方によっても異なり、生産地(国)によって草木の分類も異なることから、「果物」と「野菜」を正確に区別することは非常に難しい。
古く、これら草になる果実は「草果物(くさくだもの)」と称されており、いちごやウリのほか、ナスなども含まれていた。
また、古くは酒の肴や菓子類を「果物」と言い、のちに果実に限定されるようになったという文献が多く見られる。
しかし、これらは奈良・平安時代に唐から伝わった「唐菓子(とうがし)」や「唐果物(からくだもの)」と呼ばれるもののことである。
その名は、果物の形にして油で揚げたことに由来するため、間違った前後関係となっている。