もみあげは、寛永から正保の頃、武家の下々の者がろうそくの溶けたものに松脂を加え、はえさがっている毛を上げて「鬼ひげ」にしたことから、「あげ」の呼称がついたという用例が『落穂集』にある。
漢字で「揉み上げ」と書くように、古くは耳の前の毛を揉んで上げていたことが、もみあげの語源とされる。
この他、下がっている毛が「上げ」と呼ばれる理由に、日本髪では鬢付け油を使い上げていることからも伺える。
また、江戸時代には「耳脇毛(みみわきげ)」が訛り、「もみあげ」になったとする説が出るなど、もみあげの語源は古くから疑問を持たれていた。
お年寄りの中には、「もみあげ」を「もみさげ」と呼ぶ人もいる。
昔は上がっている状態だったので「もみあげ」。それに対して、現在は下がっているので「もみさげ」と呼ぶのは正しい気もする。
しかし、揉んでいるわけではないので、「さげ」を言うのであれば、江戸時代の上方で呼ばれてた「はえさがり」が妥当と思える。