お吸い物やおにぎりに巻いて楽しむとろろ昆布は、常備していると何かと便利な食材です。しかしもうひとつ似たような食材でおぼろ昆布というものがあるのはご存じでしょうか。
見た目は昆布を薄くした加工品ではあるものの、どうして名前を変えて区別しているのか。
とろろ昆布とおぼろ昆布の違いを解説していきます。
とろろ昆布とおぼろ昆布は削り方が違う
とろろ昆布とおぼろ昆布の違いは、作るときの昆布の削り方の違いにあります。
おぼろ昆布
おぼろ昆布は昆布一枚に対し、職人が手作業で昆布の面を削っていきます。表面を削るため帯状になり、とろろ昆布のふわふわとした食感と比べると、少ししっかりとした舌触りになります。
手作業のため、昆布の表面がデコボコだとうまく削れません。そのためおぼろ昆布に使用する昆布は形の整った一等級のものが使われることが多く、さらに職人の技術も必要になるのでとろろ昆布よりも高価な傾向にあります。
おぼろ昆布を削って残った芯の部分はバッテラ昆布と呼ばれ、バッテラずしや押しずしに使われます。
とろろ昆布
一方とろろ昆布は、昆布を何重にも重ねたものに圧力をかけてひとつの塊にします。この塊を機械によって薄くスライスしていくのです。
機械にかける際、昆布側面方向から削っていくため、とろろ昆布の表面は木目のような模様が確認できます。
おぼろ昆布(とろろ昆布)には種類がある
おぼろ昆布もとろろ昆布も、甘酢に浸して乾燥させた昆布を加工して作ります。そのため昆布の表面に近く、皮の黒さが出る黒おぼろ(黒とろろ)は酸味が強く、内側を削った白おぼろ(白とろろ)は酸味が少ないと、両者には味の違いがあります。
黒とろろはお吸い物にすると酸味が立つためあまりおすすめできませんが、ごはんとの相性はよく、富山県の黒とろろおにぎりは人気のあるローカルフードです。