ちやほやは「蝶よ花よ」を語源とする説が広まっているが、雑学の世界で作られた俗説で信憑性が低い。
「蝶よ花よ」は子供を非常に可愛がり大切に育てるさまをいう語で、平安時代には「花や蝶や」と言い、江戸時代に反転して「蝶や花や」となり「蝶よ花よ」へと変化している。
ちやほやの語源といわれるのは「花や蝶や」が反転した「蝶や花や」で、これが短縮されて「ちやほや」になったというが、時代が合わないのである。
「蝶や花や」は1600年代半ばに用いられた語。そこから100年程度で「蝶よ花よ」に置き換わっている。
「ちやほや」はその100年後から見られる語で、この時代に200年も前の言葉を持ち出して、短縮するという点が不自然である。
ちやほやの「ちや」は、「でたらめ」を意味する「ちゃら」から生じた語と思われる。
「ちゃら」は「おべんちゃら」の語源にもなっており、口先で機嫌を取るさまを表したものであろう。
「ほや」については不明だが、江戸時代には「ほやほや」が嬉しそうに笑うさまも意味しており、温かく柔らかい「ほや」の音で甘やかすさまを表現したと考えられる。
そうであれば、「ほや」に合わせて「ちゃら」が「ちや」になったことは十分に考えられ、「ちやほや」を「ちやふや」と言うことも自然である。
また、「ちやほや」の方言には「ちゃらほや」や「ちゃらほら」がある。
「ちゃらほら」は「口からでまかせの嘘を言う」の意味もあり、「ちやほや」とほぼ同時期に使われ始めた言葉である。