音楽は、「音を楽しむ」や「楽しい音」の意味からではない。
音楽の「音」は歌声、「楽」は楽器の発する音を意味する。
古くから「音楽」の語は見られるが、現代でいう「音楽」に相当する語は「楽」であった。
その「楽」に対して「音楽」は、仏教の聖衆が謡い奏でる天上の楽や法会の舞楽の意味で用いられた。
『今昔物語集』などの説話では、天上の楽や、それを模した法会の楽を「音楽」といい、世俗の楽(雅楽)を「管絃」といって区別している。
現在のように、「音楽」が人に感銘を与える音の芸術を意味するようになったのは、明治10年代以降のことである。