社会は、福地源一郎(福地桜痴)による英語「society」の訳語。
明治初期まで「society」に相当する訳語は存在せず、「交際」「仲間」「連中」「組」「俗間」「社中」などが当てられていた。
その中で、明治8年(1875年)、福地源一郎が東京日日新聞に「ソサイエチー」のルビ付きで「社會(社会)」の語を使用したことで、「社会」という訳語が定着した。
ただし、その当初、社会は「小さな共同体」「会社」など狭い意味で用いられていたにすぎない。
明治10年頃から、一般にも「社会」の語は普及し、現在のように広い意味で用いられるようになっていった。
福澤諭吉が「society」の訳語として「社會(社会)」という語を作ったとする説もあるが、福地源一郎の方が早い。
「社会」という言葉自体は、中国の宋学の入門書『近思録(1176年刊)』に見られ、日本でも文政9年(1826年)の『輿地誌略』に「教団」「会派」の意味で「社會」が用いられている。
これらの事からも分かるとおり、「社会」が福地源一郎による造語という訳ではない。