古く、あかぎれは「あかかり」もしくは「あかがり」と言った。
平安中期の辞書『和名抄』には「阿加々利」とあり、これが「あかかり」か「あかがり」かは不明であるが、平安末期の漢和辞書『類聚名義抄』は「アカガリ」で、1600年初頭の『日葡辞書』も「Acagari」と濁音である。
「あかがり」の「あ」は「足」の意味、「かがり(かかり)」は「ひびが切れる」という意味の動詞「かかる(皸る)」の連用形である。
「あかがり」が「あかぎれ」と変化したのは、区切りが「あ+かがり」から「あか+がり」と解され、「あか」が赤く腫れることから「赤」、「ぎれ」はひびが裂けることから「切れ」と連想されたものである。
江戸時代から「あかぎれ」の例が見られるようにり、次第に「あかぎれ」が優勢となって現在に至る。
あかぎれの漢字「皸」や「皹」は、「皮」+音符「軍」からなる会意兼形声文字で、「軍」には「まるくまとまる」という意味がある。