足袋は、鹿などの一枚革で作った半靴であったため「単皮(たび)」と呼ばれ、後に当て字で「足袋」と表記するようになった。
別説では、『和名抄』に「鹿皮を以て半靴と為し名づけて多鼻と曰ふ」とあるため、足袋を両足揃えると、鼻が並んでいるように見えることから「多鼻(たび)」と名付けられたとする説がある。
しかし、『和名抄』の説明は「単皮」の項にあるもので、「単皮」の読みが「多鼻」という意味であり、語源ではない。
「単皮」の字面から「単皮(たんび)」が略されたとも言われるが、上記の通り「単皮」の読みは「たび(多鼻)」なので、略語ではない。
旅をする際に用いる履物だったので「たびぐつ(旅沓)」と呼ばれ、略されて「たび」になったとも言われるが、「タビグツ」としたのは『和名抄』よりも新しい『東雅』で、履物の「たび」の語が成立した後の呼称である。
ただし、「単皮」が「たんび」ではなく「たび」と呼ばれた理由のひとつとして、「旅」の音が影響したとは考えられる。