本来、やもめは独り身の女性を指す言葉で、男性は「やもお」と呼ばれていた。
「やもめ」の「め」は「女」、「やもお」の「お」は「男」の意味である。
「やも」の語源には、「止む」や「病む」の意味、「夜間守」の意味などあるが、独り家を守る意味で「屋守(屋守り女・屋守り男)」が妥当であろう。
古く「やもめ」は「やまめ」とも言い、魚のヤマメは群れをなさないことから、魚のヤモメを語源とする説もある。
しかし、「やもお」の語が考慮されていないことや、ヤマメ以外にも群れをなさない魚がいることから考えがたい。
男性に「やもめ」が用いられるようになったのは、平安時代と古く、男女を区別して用いる際は、「男やもめ」や「女やもめ」と言うようになった。
現代では特に男性に対して用い、「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」の句も、「男やもめに蛆がわく」までで略されることが多い。
古くは未婚者のことも「やもめ」と言ったが、現代では主に配偶者と別れた人に対して使われる。
やもめの漢字は、女性には「寡」「寡婦」「孀」、男性には「鰥」「鰥夫」が用いられる。