「猫も杓子も」の由来 – 様々な解釈と歴史的背景

「猫も杓子も」は、寛文8年(1668年)の『一休咄』に「生まれては死ぬるなりけりおしなべて 釈迦も達磨も猫も杓子も」と記されており、それ以前にも使用例が見られますが、正確な語源は不明です。以下はいくつかの説です。

1.猫は「神主」を指す「禰子(ねこ)」、杓子は「僧侶」を表す「釈氏・釈子(しゃくし)」と結びつけ、「禰子も釈氏も(神主も僧侶も)」が変化して「猫も杓子も」となったとする説。
2.猫は「女子(めこ)」、杓子は「弱子(じゃくし)」と結びつけ、「女子も弱子も(女も子供も)」が変化して「猫も杓子も」となったとする説。
3.猫は「寝子(ねこ)」、杓子は「赤子(せきし)」と結びつけ、「寝子も赤子も(寝る子も赤ん坊も)」が変化して「猫も杓子も」となったとする説。
4.杓子は「しゃもじ」を指し、これが主婦が使うものであることから「主婦」を表し、「猫も主婦も家族総出で」という意味から出たとする説。
5.猫はどこにでもいる動物、杓子は日常的に使用される道具であることから、「ありふれたもの」を指す意味で生まれたとする説。

これらの説の中で、『一休咄』に出典があるため、1の説が有力視されていますが、口伝えで広まった言葉であるため、音変化や漢字の表記が変わった可能性も考えられます。

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