四苦八苦は、本来、人間のあらゆる苦しみのことをいう仏教語である。
「四苦」とは「生老病死(しょうろうびょうし)」のことで、人間として逃れられない必然的な苦しみをさす。
「八苦」とは、生老病死の四苦に「愛別離苦(あいべつりく)」「怨憎会苦(おんぞうえく)」「求不得苦(ぐふとくく)」「五陰盛苦(ごおんじょうく)」の四苦を加えた八つの苦のことで、四苦と八苦で十二苦あるわけではない。
四苦八苦の後半の四苦の意味は、「愛する人と別れる苦しみ(愛別離苦)」「怨み憎む人と出会う苦しみ(怨憎会苦)」「求めるものが得られない苦しみ(求不得苦)」「存在を構成する物質的・精神的五つの要素に執着する苦しみ(五陰盛苦)」で、人間として味わう精神的な苦しみのことをいう。
四苦八苦の四苦を「4✕9(しく)」、八苦を「8✕9(はっく)」の意味とする説もある。
これは、4✕9=36、8✕9=72を足すと108となるため、煩悩の数を表しているというものである。
しかし、四苦八苦を数字に置き換えて計算してみたら、108で煩悩の数になったというだけの話であり、掛け算が語源になっているわけではない。