無尽蔵は、本来、無限の功徳を有することを、尽きることのない財宝を納める蔵にたとえた仏教用語であった。
それとは別に、飢饉の貧民救済にあてたり、しのぎの資金を提供するために金銭を蓄えた寺の金融機関が生まれ、利息を得て寺の伽藍の修復資金にも使われた。
たとえとしていた蔵が現実のものとなり、その金融機関を「無尽蔵」と呼ぶようになった。
そこから、「無尽蔵」の語は一般にも広まり、いくら取っても無くならないことを表すようになった。
無尽蔵の金融機関は、構成員が一定の期日に一定額の掛け金を出し、クジや入札で決めた当選者に給付する「無尽講(むじんこう)」や「頼母子講(たのもしこう)」と呼ばれる民間の互助組織に発展した。
このような講の仕組みは「無尽」とも言い、無尽を営業とする会社「無尽会社」にもなったが、昭和26年(1951年)に施行された相互銀行法によって、ほとんどが「相互銀行」へ転換した。