カツは、英語の「cutlet(カツレツ)」が略された語である。
「cutlet」は肉の切り身そのものを意味し、その語源は「骨付き背肉」を意するフランス語「cotelette(コートレット)」である。
日本にカツレツが入ったのは、近世末から明治初期といわれ、福沢諭吉の『華英通語』には「cutlet(吉列)」とある。
当時のカツレツは、牛肉の「ビーフカツレツ」や鶏肉の「チキンカツレツ」であった。
明治28年(1895年)、銀座「煉瓦亭」の木田元次郎が、豚肉を使った「ポークカツレツ」を売り出したのが、「トンカツ(とんかつ)」の起源とされる。
昭和初頭、上野「元祖とんかつぽん多」の創業者である島田信二郎が、豚肉を使ったカツレツを「豚カツ」として売り出し、少しずつ「カツ」と略された呼び名が定着していった。