ふぐは、平安時代には「布久(ふく)」や「布久閉(ふくべ)」と呼ばれていた。
江戸時代中頃から、関東で「ふぐ」と呼ぶようになり全国へ広がったが、現在も下関や中国地方の一部では「ふく」と呼ばれている。
ふぐは海底で砂を吹き出てくるゴカイ類を食べる性質があるため、「ふく」の語源には「吹く」からとする説。
「袋(ふくろ)」「脹ら脛(ふくらはぎ)」「ふくよか」「膨れる(ふくれる)」など、膨らむものを意味するものの多くに「ふく」が使われており、ふぐ(ふく)も膨らむのでこの語幹からとする説がある。
「瓢箪(ひょうたん)」は「瓠瓢(ふくべ)」と呼ばれており、形が似ているため、フグを「ふくべ」と呼び、転じて「ふく」になったとする説もあるが、「瓠瓢」は膨らむものと同じ由来になるので、「ふくべ」のみ特別に取り上げて語源とする必要はない。
フグの漢字「河豚」の由来は、中国では揚子江や黄河など、海よりも河に生息するフグが親しまれていたことから「河」が使われ、膨れた姿が豚に似ていることと、釣り上げた時の音が豚の鳴き声に似ていることから、「豚」が使われるようになったといわれる。
フグの漢字には、「河豚」の他に「鰒」「鮐」「魨」「鯸」「鯺」「吹吐魚」もある。