「異常」と「異状」は類似した意味を持つ言葉ですが、その使い分けには微妙な違いがあります。「異常」とは、正常でない、通常でない状態を指し、その反対語は「正常」です。一方で「異状」とは、普段とは違った状態、つまり「異常な様子」を表します。
「異常」は形容詞(形容動詞)としても使用され、「異常な暑さ」や「異常に増える」のように表現されます。これに対して、「異状」は名詞のみで使用され、感覚的な異変や普段との違いを示す際に用いられます。
例えば、「異常あり」は、数値的に正常でないことが明確な場合に使用されるのに対し、「異状あり」とは、普段と違う様子や感覚的な違いがある場合に使われます。喉に違和感がある場合は「異状あり」、医師の診察で喉に腫瘍が見つかった場合は「異常あり」と表現されます。
また、警備の見回りで普段と変わりない様子が「異状なし」、人の気配が感じられると「異状あり」となり、不審者が侵入している状況は「異常事態」と表現されることがあります。