「ものまね」という言葉は、『源氏物語』の手習に「ものまねび(物学び)」の語で見えるのが古い。
ものまねという事柄に関しては、鳥や獣の鳴き声を真似するなど、文明が形成される以前からあったと考えられるが、人物に扮してそれらしく演じる意味で、この語が多く見られるのは、世阿弥の能楽論である。
ただし、翁や鬼の面をつける世阿弥では、模写的な演技そのものという訳ではない。
模写的な演技のものまねは、面をつけない狂言で行われ、近世には歌舞伎や浄瑠璃に取り入れられるようになった。
その後、歌舞伎役者の声色のものまねが流行り、幇間(太鼓持ち)の芸にも取り入れられ、近世後期から動物や人間のものまねをする芸人が現れるようになった。