風呂吹き大根の名は、冷ましながら食べる仕草に由来する。
昔の風呂は蒸し風呂で、熱くなった体に息を吹きかけると垢を掻きやすいため、息を吹きかけ垢をこすり取る者がいた。
このように、蒸し風呂で息を吹きかけて垢を取ることや、その者を「風呂吹き」と呼んでいた。
この料理を食べる時に冷ます姿が、湯気の出る体に息を吹きかける様子と似ていることから、料理も「風呂吹き」と呼ぶようになった。
その他、風呂吹き大根の語源には、大根は体にも良く安くて経済的なため、「不老富貴(ふろうふき)」の意味からという説。
ある僧から「大根の茹で汁を漆貯蔵室の風呂に吹き込むと、うるしの乾きが早くなる」と聞いた漆職人が、その通りにしてみたところ大変効果があったので、大根の茹で汁を大量に作ったが、茹でた大根が残るため近所の人に配ったことから、「風呂吹き大根」と呼ばれるようになったとする説がある。
しかし、この料理は元々カブで作られており、単に「風呂吹き」と呼ばれていた。
その材料を大根に変えたものが「風呂吹き大根」であるから、不老富貴や漆職人の説は考えられない。
大根を使った風呂吹きが作られるようになったのは、江戸初期頃と考えられている。