地方の「地」は、大地や土地の意味。「方」は、方角や方位のほか、部門や分野、分類を表す。
室町時代から江戸時代にかけて、地方は「ぢかた(じかた)」と読まれた。
江戸時代には「町方」に対する言葉として、農村や田舎を意味したり、田制や土地制度、民政一般を指していた。
「アフリカ地方」や「関東地方」など地域名に付ける用法は、新井白石の『采覧異言』や『西洋紀聞』が早い。
明治以降、「地方」はヨーロッパの制度を模倣した行政制度や中央集権的国家整備の下で必須の言葉となり、日常語として急速に普及した。
また、この頃から「地方行政」「地方自治」「地方裁判所」「地方税」など、多くの複合語も生まれた。