サボテンは江戸時代に観賞用として日本に渡来した。
語源は諸説あるが、サボテンの「サボ」は「石鹸(シャボン)」を意味するポルトガル語「sabão」で、この植物の茎の切り口で油などの汚れを拭き取っていたことに由来するというのが定説となっている。
サボテンの「テン」は、様子を表す「体(てい)」で、「石鹸のようなもの」の意味で「石鹸体(サボンてい)」が変化したとする説と、「テン」は「手」を意味し、その形を手に見立てたとする説がある。
1970年頃までは「シャボテン」とも呼ばれていたため有力な説に思えるが、「サボンてい」や「サボン手」という語は存在しておらず、意味を推測したものである。
「サボテン」の名が初めて見られるのは1769年の『中山伝信録物産考』で、それ以前は「サッホウサチラ」や「三布袋(サンホテイ)」「サンポテ」などと呼ばれていた。
メキシコの果物のサポテの愛称である「サポチラ(zapotilla)」と「サッホウサチラ」は似ており、サポテとウチワサボテンの果実の混同によって、この植物が「サッホウサチラ」と呼ばれていたとすれば、「サポテ」から「サンホテイ」や「サンポテ」、「サボテン」へ変化したと考えられる。
サボテンを漢字では「仙人掌」や「覇王樹」と表記するが、いずれも中国名からの借用である。