水無月は、一般的に「水の無い月」と解釈されますが、実際には水が無いわけではありません。この言葉においての「無(な)」は、「神無月(かんなづき)」と同様に、連体助詞「な」で、「水の月」という意味を表しています。
水無月の語源にはいくつかの説があります。一つは、田に水を引く時期にあたることからくるものであり、梅雨の時期や水田への水引きのタイミングを指しているとする説もあります。旧暦の6月は「水張月(みずはりづき)」とも呼ばれ、これが水を引く作業を連想させる要因となっていると考えられます。
一方で、旧暦6月の時期は新暦の6月下旬から8月上旬頃に当たり、暑さで水が干上がることから「水が無い月」とも解釈されています。ただし、「青水無月(あおみなづき)」という異名の「青」は、青葉の茂る頃を指しており、「水無月」が文字通り「水の無い月」を指すのではないことを示唆しています。
水無月の月名は通常、「有るもの」「すること」などから命名されることが一般的であり、「無いもの」からの命名は稀です。したがって、「水無月」の本来の意味は、「水の月」であり、その名前が水の引き始めや梅雨の時期などに由来していると解釈されます。