とんでもないは、「途でもない(とでもない)」が変化した語。
「途」は「道」「道程」の意味から、「手段」や「物事の道理」も意味するようになった語で、同じ用法の和製漢語には「途轍」「途方」がある。
その「途」に否定の「無い」をつけ、「道理から外れてひどい」「思ってもみない」などの意味で「途でもない」となり、「とんでもない」となった。
「思いがけない」の意味で「飛んだ」という語があるため、とんでもないの語源を「飛んでもない」とする説もある。
しかし、とんでもないが「飛んだ」の否定であれば、「思いがけなくない」「当たり前」といった意味になるため誤りで、反対に「飛んだ」を「とんでもない」の語源と関連づけることも間違いである。
「無い」で否定した「とんでも無い」が語源であるが、「とんでも」が単独で使われた例はないため、「とんでもない」で一語とされる言葉である。
そのため、「とんでもございません」や「とんでもありません」の表現は間違いとされてきた。
しかし、平成19年(2007)2月文化審議会答申の『敬語の指針』で、相手からの褒め言葉に対して、謙遜しながら軽く打ち消す表現として、「とんでもございません(とんでもありません)」を使っても問題ないとされたことで、現代では間違いではない表現とされている。
ただし、「とんでもない」には強く否定する「もってのほかだ」の意味もあり、「とんでもないことでございます」を使う場合は注意が必要だと『指針』では述べられている。