笑止は「勝事」に由来する語で、「事」は漢音で「し」と読み、「しょうし」と言った。
勝事は世にも稀な素晴らしいことを意味した語だが、珍しいの意味から普通ではないことを表すようになり、良い意味にも悪い意味にも用いられた。
さらに、不吉なことや奇怪なことを意味するようになり、大変なことや困ったことの意味が生じたことから、原義の優れたことの意味では「しょうじ」、悪い意味では「しょうし」と区別されるようになったと見られる。
「しょうし」は、困ったことの意味から、同情すべき相手に対して気の毒に思う気持ちや、恥ずかしく思うことを表すようになり、気の毒でもありおかしくもあるという意味でも使われるようになった。
この頃から漢字に「笑止」の字が当てられるようになり、おかしいことの意味が強くなっていった。
現代のように、ばかばかしいことやおかしことの意味で「笑止」が用いられ始めたのは、遅くとも室町中期と見られる。