正念場の「正念」は仏教語で、悟りにいたるまでの基本的な実践目得『八正道(はっしょうどう)』のひとつ。
『八正道』にある「正念」を除いた残り七つは、「正見」「正思惟」「正語」「正業」「正命」「正精進」「正定」という。
正念とは、雑念を払い仏道を思い念ずることで、正しい真理を思うことを意味し、修行の邪魔となる雑念に乱れない信心も意味する。
そこから、「正しい心」「正気」が必要な場面を「正念場」と言うようになった。
また、正念場は歌舞伎や浄瑠璃などで、主人公が役柄の神髄を見せる最も重要な場面をいう語で、「性根場」とも書く。
演劇の中で仏教語が用いられたことで、一般にもこの語が広まり、「正念場(性根場)」が重要な場面を表したことから、現在の意味で使われるようになった。