負けず嫌いの「ず」の意味

負けず嫌いの「ず」と食わず嫌いの「ず」は違う

負けず嫌いとは、他人に負けることを嫌がる勝気な性格のことをいいます。
食わず嫌い(食べず嫌い)は、食べたことがなく、味も知らないのに嫌いだと決め込むことです。
食わず嫌いの「ず」は打消しの助動詞(「ない」という意味)ですが、この「ず」を「負けず嫌い」に当てはめると、負けないことが嫌い。つまり、勝つことが嫌いという、反対の意味になってしまいます。

負けず嫌いの語源

江戸時代には、「負けず嫌い」を「負け嫌い」といっていました。
人に負けまいと奮い立つ気持ちは、「負けじ魂(負けず魂)」といいます。
この「負け嫌い」と「負けず魂」が混同され、「負けず嫌い」になったというのが、最も有力な説とされています。

負けず嫌いの「ず」は「むとす」の意味?

負けず嫌いの語源には、「負けむとす」からという説もあります。
「むとす」は意思を表す助動詞で、「しようとする」という意味になります。
「むとす」が「むず」「うず」「んず」「ず」となり、「負けず嫌い」に変化したというものです。
「むとす」が「ず」に変化することは考えられますが、このような意味で「ず」が使われたのは江戸時代です。
しかし、江戸時代に「負け嫌い」の例はありますが、「負けむとす嫌い」や「負けず嫌い」の例はありません。
「負けず嫌い」の使用例は大正時代に入ってからなので、「負けむとす嫌い」が変化したと考えるのは難しいといえます。

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