見ざる聞かざる言わざるの語源・由来

見ざる聞かざる言わざるの「ざる」は、打ち消しの助動詞「ず(ざり)」の連体形で、心を惑わすようなものは、見ない、聞かない、言わないという意味。
両目、両耳、両口をおおった三匹の猿をかたどった「三猿」と掛けて、「見猿聞か猿言わ猿」とも当てられる。
本来は悪しきことから遠ざけよという戒めであるが、現代では見て見ぬふりをするという自己保身の意味でも使われ、「見ざる聞かざる言わざる」であることに対して否定的なニュアンスを伴った用い方もされる。

「見ざる言わざる聞かざる」の順でも言い、日光東照宮の「三猿」も「見ざる言わざる聞かざる」の順番で並んでいる。
漢語の「不見、不聞、不言」を訳したものが天台宗の教えとして伝わったとする説があり、論語でも「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、非礼勿動」、その他、各国にある同様の言葉は「見るな聞くな言うな」の順である。
また、見聞きは受動的、言うことは能動的であり、見聞きすることと言うことは分けられるため、正式な順番は「見ざる聞かざる言わざる」と考えられるが、「見ざる言わざる聞かざる」の順番が間違いということはない。

出典:見ざる聞かざる言わざる – 故事ことわざ辞典

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