優しいは、動詞「やす(痩す)」の形容詞形で、身が痩せ細るような思いであることを表した語である。
平安時代、他人や世間に対して引け目を感じながら振る舞う様子から、「控え目である」「つつましやかである」の意味を持つようになった。
慎ましい姿を優美と感ずることから、優しいには「優美だ」「上品で美しい」「けなげだ」「好感が持てる」と評する用法が生まれた。
さらに、「けなげだ」「好感が持てる」の意味から、「こちらが恥ずかしくなるほど思いやりがある」という意味も派生し、近世以降、優しいは「親切だ」「心温かい」の意味で使用されることが多くなった。
「容易だ」を意味する「易しい」は、近世末頃から使用が見られ、「優しい配慮があって分かりやすい・簡単だ」というところから派生した用法である。