年は、「穀物」や「稲」を意味した「とし」が語源。
古くは「穀物」、特に「稲」を「とし」といい、稲が実ることも「とし」といった。
『名義抄』には「年、稔、季」に「トシ」とあり、「稔」には「ミノル」と「トシ」の訓がある。
時の単位「一年」を言うようになったのは、穀物の収穫サイクルを一年として考えたことによる。
「稲」が「とし」と呼ばれるようになった由来は、「一年」を表す時の単位と同じように、収穫までの期間は早く過ぎるものであるところから、「疾し」「敏し」からと考えられる。
また、「収穫」ではなく「穀物(稲)」や「豊作」を中心に考えるならば、「と」が「富」、「し」が「食物」「収穫」の意味や、「稲」を表す「たよし(田寄)」からとも考えられる。
和語の「とし」と、漢字の「年」や「歳」は、成り立ちが似ている。
漢字の「年」は、「禾(いね)」に音符「人」で、「人」には「くっついて親しみ合う」の意味が含まれており、穀物が熟してねばりを持つ状態になるまでの期間を表している。
漢字「歳」は「戉(エツ:刃物の意味)」と「歩」からなる字で、「歩」は「としのあゆみ」、つまり「時の流れ」の意味があり、刃物で穂を刈りとるまでの時間の流れを表したのが「歳」である。